■判決言い渡し/市側に対して賠償命令(2014/3/11)

 2014年3月11日(火)京都地方裁判所にて、本訴訟の判決言い渡しが行われ、橋詰均裁判長から、当日現場にいた教諭3人の過失を認め、京都市側に約3000万円の賠償を命じる判決文が読み上げられました。(毎日新聞速報記事

 判決につきまして詳細は別途日を改めてお知らせいたします。

 また、第三者委員会の調査は現在継続中です。引き続き見守りくださいますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

■第8回口頭弁論(2014.1.14)をうけての報告

みなさま

 14日は、さまざまな励ましや応援をいただき、ありがとうございました。傍聴にもたくさんいらしていただいて、やはり入りきれませんでしたね。それでも待っていてくださった方々、ほんとうにありがとうございます。

 尋問では、私たち夫婦の出会いから始まり、長い不妊治療のこと、奇跡のように羽菜がやってきてくれたこと、親子でぴったりと寄り添って暮らした6年5ヶ月のことを話しました。
それから事故当日、連絡を受けて病院に走ったときのこと、ICUでの1日のこと、その後の学校とのやりとりのこと…。
最後に、なぜ和解でなく判決を求めたのかということと、いま現在の私たちが、どれほど希望のない中で暮らしているかということも話しました。

 どれほど伝えても、言葉を重ねても、私たちと羽菜との6年5ヶ月がどんなものだったかを、ほんとうにわかってもらうことは難しい。でも、精一杯のことはしました。事故の一瞬がなにを奪ったのかを感じてもらえたらと。

 一人の子どもがいなくなったというだけのことではないのです。
友達の一人が言ってくれたように、事故は、私たちの出会いから始まった家族の年月のすべてと、そして羽菜と私たちが生きるはずだった未来の年月のすべてを壊したのだと思います。
特に、羽菜が生きられなかった時間、それがどうしてもどうしても切なくて。

 羽菜の死の理由を、私たちはどんな理屈を使っても説明できません。どんな事実がわかってもそれは同じ、合理化も受容もできない。
なぜ?どうして?という恐ろしい問いかけはずっとずっと続くでしょう。私たちはそれに耐えて、羽菜に会えないことをただただ我慢し続けていくしかないのです。ほんとうに、必死に。

 結審ということで、事故当日のプール担当だった三教諭にも来てもらうよう、市教委を通じて伝えました。
初めてのことです。
 法的な意味にはならないけど、事故の当事者として、それが引き起こしたことのすべてに向き合って欲しかった。

 これで裁判はともかく終わり。そこでできることはもうありません。
いままで見守ってくださったみなさま、ほんとうにありがとうございます。これからもまだまだ続きます。
なにとぞよろしくお願いいたします。

浅田 羽菜  両親

 

 

■第7回口頭弁論(2013.11.7)をうけての報告

みなさま

 遅くなりましたが、11月8日に行われた第7回口頭弁論のご報告をさせていただきます。もう7回目になるのですね…

 今回は、前回の相手方の答弁に対する反論を何点かした上で、私たち両親の証人尋問の申請を行いました。
 反論した点は、休憩時間の有無についてと、賠償金の算定についてです。相手方が正面からの主張を行ってこないので、休憩時間について曖昧な部分をさらに追求したりして、こちらはまだなんとか闘いに引っ張り出そうとはしてるけれど…という感じでしょうか。でも難しい。賠償の算定については、相手方の示してきた基準に対して、こちらの主張の根拠をあらためて述べています。

 次回の期日は1月14日火曜日の13時半から15時になりました。原告である私たちの証人尋問として、長い時間がとられています。それで口頭弁論は終わりになります。
 ほんとうは、尋問のあとにもう一度期日を設け、新たな証拠を出せるようにしたいということも代理人と話していました。しかし、裁判官の異動が予想される3月までに、できれば判決を出したいということを裁判の中で言われ、次で最後ということに同意しました。年度をまたいでしまうと、異動してきた裁判官が書類を読んだだけで判決を書く可能性もあるとのこと。やはり、今までの裁判の経過を直接見てきて、私たちの話も聴いた裁判官が判決を書きたいということ…私たちもそうしてもらった方がいいので、致し方なく了承しました。そんな都合もあるのですね…事情はわかるのですが。

 いつも傍聴にいらしてくださるみなさま、気にかけてくださるみなさま、ほんとうにありがとうございます。
 口頭弁論の度にどうしようもない気持ちになりつつやってきた裁判も、とうとう終わり…言葉にならない思いがあります。羽菜のいない世界で、ただもがき続けている虚しさ、苦しさ。「いない」ということは、ほんとうに恐ろしいことです。

 でも、まだまだ諦めるわけにはいきません。第三者調査委員会の調査は続きます。
 みなさま、これからもなにとぞよろしくお見守りいただきますよう、お願いいたします。

浅田羽菜 両親

 

 

■第6回口頭弁論(2013.9.19)をうけての報告

みなさま

 めっきりと秋めいてきました。9月19日に行われた第6回口頭弁論についてのご報告をさせていただきます。

 第5回では、こちらから教諭らの安全配慮義務違反、救護の過失、管理職らの指導監督義務違反等を主張し、相手方の責任の認否を求めていました。

 相手方の準備書面に示された返答は、安全配慮や監視に課題があったとは考えられるが、定められた基準がない以上、違法性があるとまでは言えないというもので した。従って、原告である私たちの主張を「認める」ことはできない、しかし、課題があるということから積極的な主張をしかねるため、「争う」とのみ認否するとのこと。

 今回の法廷で、今後も具体的な主張を行わないのかを尋ねたところ、「行わない」との回答でした。相手方が主張をして来ない以上、責任の認否について、私たちにはこれ以上できることはないようです。つまり、これ以上明らかになる事実はないということです。
裁判長は言いました。「原告にとっては歯がゆい回答だと思いますが、裁判の流れの中では、この程度のものでしょう。」

 この程度と。私たちの羽菜の命が喪われているのに、こんなことで十分だろうと、法廷は言うのです。こんな曖昧な、違法性と課題の狭間にある事実。
 悔しくて、情けなくて、歩む会のみんなと涙を流しました。事実に近づくための行程は実質終わり、あとは損害の確定だけです。限界です。

 今回は報道の方もほとんどおらず(ずっと追ってくださっている京都新聞さんだけでしたね)、しかし私たちにとっては大きな一つの区切りの回だったと思います。

 わかっていたはず、この限界に気づいて、第三者委員会の設置へと動いたのでした。事実に近づくための調査は、そこで進められています。そこに期待して、動いていくしかありません。
 次回の期日は11月7日16時30分ですが、その回は尋問の申請だけ、その次の回で、私たち両親が尋問に答えることになるとのことです。

 今回も傍聴に来ていただいたたくさんのみなさま、そして、いつもエールを送ってくださるみなさま、ありがとうございます。
どうぞこれからも、第三者委員会の動きを私たちとともにお見守りいただきますよう、お願いいたします。

浅田羽菜 両親

 

 

■第5回口頭弁論(2013.8.1)をうけての報告

みなさま


 遅くなりましたが、明日19日の弁論の前に、8月1日に開かれた第5回口頭弁論についてのご報告をいたします。

 第5回では、こちらから、前回までに裁判の中で提出された資料を整理した上で、あらためて事故に対する責任を問い、認否を求めました。和解のテーブルにはつかず、判決を求めていく姿勢です。
主張としては、大枠は当初から変わらないのですが、教諭らの安全配慮義務違反、救護の過失、管理職らの指導監督義務違反を挙げています。

相手方からは、こちらの主張を検討した上で回答するとの返答がされました。

 いつもながら、あっという間に終わりました。一番長くかかったのは、府の代理人が、忘れて来られた資料一式を受け取るために中断した時間でしょうか…。

 前回もたくさんの方々に傍聴に来ていただきました。
明日もご予定いただいているみなさま、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 わかりにくい裁判の流れの中で、せめて私たちと思いを共にしてくださろうというみなさまに、そして、いつも様々な場所から思いを寄せてくださるみなさまにも、心から感謝いたします。

浅田羽菜 両親

 

 

■第4回口頭弁論(2013.6.6)をうけての報告


みなさま
 いつも羽菜に思いを寄せていただき、ありがとうございます。
6月6日、第4回口頭弁論が行われ、その後に京都市教育委員会に対し、第三者調査委員会の設置に向けた要望書を提出いたしました。
まずは口頭弁論についてのご報告をいたします。

 今回の口頭弁論では、前回こちらから釈明を求めていた、事故後の調査の実態と、事故の詳細にかかわる疑問についての回答がなされました。
 調査については、学校が保管していた記録やメモ、市教委の教諭らに対しての聴き取り資料などが提出され、調査の内容がある程度明らかになりました。ただし、そのほとんどは事故直後のもので、それ以降の調査についての言及はありませんでした。
 
 また、事故の経緯について、詳しい説明を求めた質問についても、一つ一つに部分的な回答がありました。それらはすべて、現在までに既に示されている事実に基づく回答であり、羽菜が巻き込まれた事態の新たな把握に結びつくものではありませんでした。
 これが、あくまで裁判においての、当事者による調査の限界と言われれば、それはそうなのかもしれません。もちろん、やるべき調査や検証の手立てはもっとあったのでは、あるのではという気持ちは拭えませんが…。

 ともかく、私たちとしては、今回提出された証拠を加味してあらためて主張を整理し、再度提出することになりました。和解のテーブルにはつかず、判決を求めていきたい意向です。相手方からは、こちらの主張に対する反論と責任の認否が為されることになるでしょう。
 今後、第三者委員会の調査が進めば、そこで明らかになった事実が裁判で検討されることもあるかもしれません。

 今回もたくさんの方に傍聴に来ていただきました。法廷にいても、なかなか裁判の流れはわかりにくいと思います。それでも、あの虚しい十数分間を私たちと一緒にいようと思ってくださって、ほんとうにありがとうございます。
 様々な場所から思いを馳せてくださるみなさまにも、心から感謝いたします。
どうぞ、これからもお見守りください。

2013年6月6日 浅田 羽菜 両親
 

■第3回口頭弁論(2013.3.28)についてご報告

みなさま

 第3回口頭弁論が終了いたしました。傍聴にいらしていただいたみなさま、お気にかけてくださったみなさま、ほんとうにありがとうございました。前回からの経緯を含め、論点ごとに分けてご報告いたします。いつも長文になってしまって申し訳ありませんが、どうぞお許しください。

 

1.「水泳指導実施要項」に示された担当教諭の人数について

 

養徳小学校が独自に作成した「水泳指導実施要項」にある、「要注意児童について 必ず1人つき 3人体制とする」という記載への説明を求めるものです。指導においては、水が苦手、水に顔がつけられないなどの要配慮児童と、健康上の理由から注意を要する要注意児童(育成学級の児童はどちらにも該当しません。前回の投稿に、この点で誤りがありましたので訂正いたします)が、気をつけるべき児童とされていたようです。羽菜はどちらにも入っていませんでしたが、事故当日は要注意児童が2人参加(全参加児童数は69名)、当日の担当教諭は3人だったことから、この配置では少なすぎるのではと釈明を求めました。

 

京都市・京都府の釈明は、「1人つき 3人体制」というのは、要注意児童一人につき、教諭1人ということではなく、要注意児童が何人参加しようと、そこを1人の教諭が担当し、全体を3人体制でみるということであるとの回答でした。その上で、人員配置も市の基準に照らして、不備はなかったとしています。

 

しかし、このように教諭の配置体制に不備はなかったとしながら、今年度から使用される水泳指導のための安全指針の中では、増員が決められているのは、前回の「養徳小学校保護者説明会に向けて」の投稿でもお知らせしたとおりです。この点についても、さらに釈明を求めていくことができればと考えています。

 

2.依然、事故の発生原因が明らかにされていないことについて

 

裁判外での連絡で、私たちが事故原因の究明結果に対する説明を求めたことに応じて、教育委員会からは文書による回答が届きました。裁判所にも同じものが提出されました。しかし、それは私たちには杜撰なものと感じられたため、行われた調査の実態を明確に示してほしいとの質問状を、個人名で直接に送付しております。

 

それに対して、教育委員会からは、裁判の中で回答したいとの電話連絡がありました。それを受け、こちらからは、質問状と同じ内容をあらためて裁判所に提出し、さらに事故内容に対する質問も追って行うものとして、合わせての釈明を求めております。

 

京都市・京都府からは、回答を準備するのに2か月は猶予がほしいとの主張があり、裁判長は、追加質問への回答も合わせて、5月末頃までには準備するようにと求めました。

次回の口頭弁論期日、6月6日までには、その釈明が準備書面、またはそれに準ずる形で提出されるはずです。

 

十分な調査が行われた末に、やはり空白の時間は埋められないとして、監視体制の不備が再度提示されるというならまだしも、調査を行わず、不明なままに安全指針を作ることで終わらせようとするような姿勢は、とても受け入れられるものではありません。

子どもさんらへの再度の聞き取りは困難でも、担当だった教諭や学校に対しては詳しく聴取することができるはず。監視体制についても、救護の体制についても、専門家に依頼するなどして、なぜ客観的な検証を行わないのか、私たちには不思議です。どうしても、羽菜の命が軽んじられていると思えてなりません。むざむざと奪われてしまって、奪われてからもこれほどに粗末にされている命と、悔しくてなりません。

 

3.事故後に、小学校が行った聞き取り調査の結果のうち、マスキングされた部分の開示

 

この部分は、「事故とは関係なく、両親に精神的苦痛を与える恐れがある」とされた部分ですが、京都市・京都府は、やはり両親への開示を拒みました。しかし、当方が、代理人レベルでの開示を求めたことには応じ、弁護士に対しては開示がなされました。

 

以上、第三回口頭弁論の結果についてご報告いたしました。

 

 裁判開始時から、私たちが求めているのは、一貫して事故原因の究明です。それがなかなか明らかにされぬままに3ヶ月、その間に3回の口頭弁論が行われたにも拘らず、調査の実態を尋ねたところ、さらに回答準備に2ヶ月が必要とは…。ほんとうに時間がかかります。

 しかし、待つしかありません。羽菜には、もう現実の時間は関係ないのですから。悲しい、淋しい現実です。

 

2013年3月28日

浅田羽菜 両親

 

 

 

■第2回口頭弁論についてご報告(2013/1/31)

2013年1月31日に行われた第2回口頭弁論についてのご報告】

 

1月31日、京都地方裁判所第208法廷にて、2回目となる口頭弁論が行われました。その概要についてご報告いたします。

 

今回は、学校側が事故後に行った聞き取り調査の内容と、同校が作成していた「水泳指導実施要項」が開示されたことをうけ、原告側からそれぞれについて釈明を求める申し立てがありました。

 

論点は、

1.「水泳指導実施要項」に示された担当教諭の人数について

2.事故の発生原因について

3.聞き取り調査記録のうち一部マスキングされている内容について

の3点です。

 

1. は、養徳小学校作成の「水泳指導実施要項」についてです。「要注意児童(身体的な理由から注意を要する児童とされている。浅田羽菜さん は該当とされていません)1名に対して、必ず教諭1名を配置する」とあるのに対して、事故当日の参加児童69名、うち要注意児童2人参加、担当教諭は全員 で3名でした。この配置について説明を求める旨、原告側から提示されました。

 

2.つきましては、依然、明らかにされておらず、進展はありませんでした。

 

3. につきましては、事故と関係がない、原告に精神的負担を与えると考えられるという理由によりマスキングされている箇所があり、原告側としては、そのような 配慮は無用であるとして開示を求めたものです。 それに対して、代理人では回答できないとのことで、持ち帰り対応となりました。

 

今回の口頭弁論の概要は以上です。

 

京都市側は代理人1名と傍聴人2名、京都府側は代理人1名の出席でした。

 

また、傍聴席は第1回目と同様、満席で、10人ほどの方が立ち見での傍聴となりました。

 

次回口頭弁論は、3月28日の午前10時、同じく京都地方裁判所にて開廷される予定です。

 

 

■第1回口頭弁論についてご報告(2012/12/12)

2012年12月12日に行われた第一回口頭弁論についてのご報告】
浅 田さんの弁護人側の訴え(現段階では、学校からの説明のみに基づいたものとなっています)は、京都市と京都府に対して、プールにおける安全管理や監視体 制、救護の役割分担等に瑕疵があったとするものでした。これに対して、相手方はその訴えをほぼ認めた上で、正面からは争わず、和解を求めたいという姿勢を 示しています。
浅田さん側は、ただ認めるだけでなく、曖昧なままになっている事故の状況をはっきりさせ、双方で、実際になにが起こったのかという事実の確認が必要だと訴えています。
そのために、まずは学校が事故後に行った関係者への聞き取り内容の開示を要求しました。次回の口頭弁論では、京都市と京都府からこの点について説明が行われる予定です。